みんなの暮らし、聞いてみた。

緑豊かなまちの風景が
作品のモチーフに。

saoriさん

独創的な視点と、稀有な感性を持ち、若くして注目を集めている高校生 アーティストのsaoriさん。 お母様と共に、二人三脚で歩んで来たアーティストへの道のりについてきいてみました。

絵を描きだした、
ちょっとしたきっかけ

saoriさんはどのようなお子さんだったのですか?

幼少期は他の子と比べて、特に変わったところはなかったと思います。友達との関係があまり上手くいかなくなってきたことや、かなりこだわりが強いことに気付き始めたのが、小学3年生の頃でした。
数年後に少し発達障害があるのかもと疑い始め、病院で検査した結果、中学1年生の時に自閉症スペクトラムと診断されました。

絵を描きだした経緯について教えてください。

発達障害が原因で、通っていた中学校のクラスメイトとの人間関係がうまくいかなくなっていったんです。好きだった部活でもストレスが溜まることが多くなってきて、そんな行き場のないストレスの矛先が絵に向かったんだと思います。
ある日、担任の先生が私の絵を見てすごく褒めてくれたんです。その事が嬉しくて、どんどん絵を描くことにのめり込んでいきました。

作品を制作していない時の過ごし方は?

普段はアルバイトをしたり、友達と買い物に行ったり、電話をしたり、カラオケに行ったりと、どこにでもいる高校生ですよ。ただ、カラオケに行っても、歌うことはなくて、だいたい友達とずっと話をしています。一緒に行く友達も、同じような境遇の子も少なくないので、周りを気にしないでおしゃべりできる居場所が、とても落ち着くし、必要なんです。

インタビュー写真

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自分の特性を強みに変えて

制作のスイッチはどんなタイミングで入りますか?

正直、作品を描き出すタイミングを自分ではコントロール出来ないんです。自分のコンディションと、気分が乗ってこないと作業に入れないのですが、ふとした時に、インスピレーションが湧いてきて描きたくなります。
ただ、いざ制作を始めると、周りのことは一切気にしないで、2時間くらいは休みなしで一気に描き上げます。なので、描き終わった時はもうぐったりって感じですね。
場所は居間のテーブルで描くことがほとんどなので、いつ制作が始まっても良いように、母が画材の準備と、テーブルの上の整頓をいつもしてくれています。こんな私なので、家族をバタバタさせるのは日常的なことですね。

八王子での暮らしは作品に影響していますか?

八王子は自分にとって身近な場所で、自然も豊かだし、居心地がいいと思っています。
私の絵は、木や森、鳥や魚などがモチーフになることが多く、それは子どもの頃から育った環境が影響しているのかなと思います。最近は、市内の企業とお仕事を一緒にするようになって、より身近な自然に目を向けることが増えました。

インタビュー写真

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アーティストとしての
これまでとこれから

作品制作の依頼はどんな形で来るのでしょうか?

Instagramが多いですね!
最初は、作品がかなり膨大な数になってきたので、デジタル管理をする目的でアカウントを母に作ってもらい、ただ作品保存の為にアップしていました。
展示会で出会った作家さんからのアドバイスもあり、SNSで積極的に作品を発信することを始めたんです。
それがきっかけで、色々な方からの問い合わせや、仕事の依頼が増えていきました。

最近手がけたコラボ企画の
代表作品を教えて下さい。

木工房三澤の「東京曲げわっぱ」、八王子クラフトリキュールの「mulberry&hops」、「翠靄〜sui-ai〜」です。
いずれも市内の方で、Instagramで繋がって依頼をいただきました。曲げわっぱは、下書き無しで木に直接描くので、紙に描く時と少し違うこともあるんです。傷にならないように筆圧を調整したり、木目に合わせてモチーフを配置したり。

木工房三澤 三澤さん Instagramでsaoriさんの作品を見つけて、開発中だった「東京曲げわっぱ」にぜひ落とし込みたいと思い、メッセージさせてもらったのがきっかけでコラボが実現しました。絵のタッチが木目とマッチするんじゃないかと想像していたんですが、見事にハマったと思います。

八王子クラフトリキュール 島村さん 商品コンセプトを、ラベルはモノクロ、加えてオール八王子産にこだわり、福祉との連携なども出来ないかと考えていたところ、Instagramでsaoriさんの作品に出会いました。saoriさんは市内のアーティストですし、全てのピースが揃った思いでした。

インタビュー写真

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アーティストとしての夢は?

最近は、企業さんからの依頼が多くて、仕事としての作品作りがメインになっているんですけど、やはりテーマ毎に少し縛りはあるんです。今後は、より自分の世界観を表現できるソロの作品をたくさん描いて、展示会などで発表の場を増やしていきたいです。大きな作品にもチャレンジしたいですね。
そして、自分の作品を通じて、人に元気や勇気や希望を与えることができるようなアーティストになれたらいいなと思っています。
目標にまっすぐ向かうsaoriさんの目はキラキラと輝いていた。

お母様から、
saoriさんへのメッセージはありますか?

いろいろあって描き始めた絵がアートとして認められるようになり、様々な方とも出会い、頑張ってきたと思います。
今後は、一つの道としてアートを自分の強みにして欲しいとは思っています。たとえアートの道に進まなかったとしても、これまでの経験を通して積み上げて来た自信や強みは必ずあるはずなので、それを活かしてもらいたいと願っています。 (取材日 2024年11月)

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saori(さおり)

生まれ育った八王子で、高校生にして新進気鋭のアーティストとして活躍中。その独創的な視点と稀有な感性から描かれるモノクロームのペン画アートは、不思議な世界を作り、見る人の目を惹きつける。企業などからのコラボレーションの誘いも多い。

 

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>saori(@saori.art97) (インスタグラム) >木工房三澤 >八王子クラフトリキュール(八王子 craft liqueur)