八王子市男女共同参画推進条例(全文)

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(前文)

 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけ制定された男女共同参画社会基本法のもと、ジェンダー平等の実現に向けた国際社会の動向と協調しつつ、様々な取組が進められてきた。
 本市においても、平成11年に「男女共同参画都市」を宣言し、「男女が共に生きるまち八王子プラン」に基づき、男女共同参画に関する総合的な取組を進めてきた。
 こうした取組等により、男女共同参画は着実に前進しつつある一方で、社会全体においてアンコンシャス・バイアスを含む性別による固定的な役割分担意識に基づく構造的な問題等が依然として根強く残っており、また、性別に起因する権利侵害等、多くの課題が残されている。
 若者が集まる学園都市であり、企業が多数集積する本市において、誰もが学びやすく、働きやすく、社会のあらゆる分野に参画できる環境を整えることが重要である。未だに課題が残る男女共同参画を、市、市民、教育関係者、事業者及び地域活動団体が共に手を携えて着実に推進することを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条

 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、教育関係者、事業者及び地域活動団体の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、その施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって様々な場面において、男女が共に参画する社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条

 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑴ 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員としてお互いを尊重し合い、自らの意思によって家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女がその個性及び能力を十分に発揮することができ、等しく政治的、経済的、社会的及び文化的利益を受け、かつ、共に責任を担うことをいう。
⑵ ジェンダー平等 性別に関わらず平等に責任や権利や機会を分かち合い、あらゆるものごとを一緒に決めることをいう。
⑶ アンコンシャス・バイアス 誰もが潜在的に持っている無意識の思い込みのことをいう。
⑷ 性別による固定的な役割分担意識 個人の能力等によって役割を決めることが適当であるにもかかわらず、性別を理由として、役割を分ける考え方のことをいう。
⑸ 市民 市内に居住し、通学し、又は通勤する者をいう。
⑹ 教育関係者 市内において学校、地域その他の社会のあらゆる分野において行われる教育に携わる者をいう。
⑺ 事業者 市内において事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。
⑻ 地域活動団体 町会、自治会その他市民を主な構成員として市内において活動を行う団体をいう。
⑼ ドメスティック・バイオレンス 配偶者その他親密な関係にある者(配偶者であった者その他親密な関係にあった者を含む。)からの身体的、精神的、社会的、経済的又は性的な暴力をいう。
⑽ セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた個人の生活の環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。

(基本理念)

第3条

 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
⑴ 誰もが、個人としての尊厳が重んぜられることにより、性別による差別的取扱いを受けることがなく、その個性及び能力を発揮し、自らの意思により多様な生き方を選択できること。
⑵ 性別による固定的な役割分担意識に基づく制度又は慣行が、社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
⑶ 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は教育関係者、事業者及び地域活動団体における方針の立案及び決定の過程に、共同して参画する機会が確保されること。
⑷ 男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、介護その他の家庭生活において、また、学校、職場、地域その他の社会生活において対等な立場で参画できること。
⑸ 男女が、互いの性に対する理解を深め、妊娠、出産等の性及び生殖に関する個人の意思を尊重し合い、生涯にわたり安全かつ健康な生活を営むことができるように配慮されること。
⑹ 誰もが、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントその他の性別に起因する暴力を受けることがなく、個人として尊重されること。

(市の責務)

第4条

 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(以下この条から第9条まで、第12条、第14条及び第15条において「施策」という。)を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、施策を実施するに当たっては、市民、教育関係者、事業者及び地域活動団体(以下「市民等」という。)並びに国及び他の地方公共団体と相互に連携する責務を有する。

(市民の責務)

第5条

 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画について理解を深め、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第6条

 教育関係者は、男女共同参画の推進において教育が果たす役割が重要であるとの認識の下に、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
2 教育関係者は、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第7条

 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動において、個人の意欲、能力、個性等が尊重され、男女が共に参画することができるよう努めなければならない。
2 事業者は、雇用における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、性別による固定的な役割分担意識に基づく制度又は慣行を見直し、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動を両立することができる職場環境を整備するよう努めなければならない。
3 事業者は、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(地域活動団体の責務)

第8条

 地域活動団体は、基本理念にのっとり、性別による固定的な役割分担意識に基づく制度又は慣行を見直し、男女が共に参画できるよう努めなければならない。
2 地域活動団体は、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(情報の収集及び調査)

第9条

 市長は、施策を策定し、効果的に実施するため、男女共同参画に関する事項について、情報の収集及び調査研究を行うものとする。
2 市長は、必要があると認めるときは、市民等に対し、男女共同参画に関する事項について報告を求めることができる。

(啓発活動)

第10条

 市長は、市民等に対し、男女共同参画についての関心及び理解を深めるために必要な啓発活動を行うものとする。

(活動に対する支援)

第11条

 市長は、男女共同参画の推進に関する活動を行う市民等に対し、人材の育成、情報提供その他の必要な支援を行うものとする。

(体制の整備)

第12条

 市長は、施策を効果的に実施するため、相談や啓発活動等を行うための拠点の設置や、市民等並びに国及び他の地方公共団体との相互連携等のために必要な体制を整備するものとする。

(男女共同参画推進審議会)

第13条

 男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議するため、市長の附属機関として八王子市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、答申する。
⑴ 次条第1項に規定する推進計画に関すること。
⑵ 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し、市長が必要と認める事項
3 審議会は、学識経験者、市民、事業者、関係団体が推薦する者その他市長が必要と認めるもののうちから市長が委嘱する委員8人以内をもって組織する。
4 審議会の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 審議会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、市規則で定める。

(推進計画)

第14条

 市長は、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項に規定する市町村男女共同参画計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、推進計画を策定するに当たっては、市民等の意見を反映するために必要な措置を講ずるものとする。
3 市長は、推進計画を策定するに当たっては、あらかじめ審議会の意見を聴くものとする。
4 市長は、推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前3項の規定は、推進計画の変更について準用する。

(実施状況の公表)

第15条

 市長は、毎年度、推進計画に基づく施策の実施状況を公表するものとする。

(性別による権利侵害の禁止)

第16条

 何人も、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的な取扱い、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントその他の性別に起因する権利侵害に当たる行為を行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第17条

 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識及び暴力的行為を助長し、又は連想させる表現並びに著しく性的感情を刺激する表現を行わないよう努めなければならない。

(相談申出への対応)

第18条

 市長は、性別に起因する権利侵害その他の男女共同参画の推進を妨げる行為について、市民等からの相談の申出を受けるための窓口を設置する。
2 市長は、前項の相談の申出を受けた場合、関係機関と連携し、適切な処理に努めるものとする。

(苦情申出への対応)

第19条

 市長は、男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民等からの苦情の申出を受けるための窓口を設置する。
2 市長は、前項の苦情の申出を受けた場合は、適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、第1項で受けた苦情の申出について、必要があると認めるときは、次条に規定する苦情処理委員会の意見を聴くものとする。

(男女共同参画苦情処理委員会)

第20条

 前条第1項の規定による苦情の申出について、公正かつ適切に処理するため、市長の附属機関として八王子市男女共同参画苦情処理委員会(以下「苦情処理委員会」という。)を置く。
2 苦情処理委員会は、前条第3項の規定による市長の諮問に応じ、前条第1項の規定による苦情の申出について調査審議し、答申する。
3 苦情処理委員会は、男女共同参画の推進に識見を有する者のうちから市長が委嘱する委員3人以内をもって組織する。
4 苦情処理委員会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 苦情処理委員会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 前各項に定めるもののほか、苦情処理委員会の運営に関し必要な事項は、市規則で定める。

(委任)

第21条

 この条例の施行について必要な事項は、市規則で定める。

附則

1 この条例は、令和5年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
2 施行日前に男女共同参画社会基本法第14条第3項の規定に基づき策定された男女が共に生きるまち八王子プランは、第14条の規定により策定された推進計画とみなす。
3 非常勤の特別職の職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年八王子市条例第29号)の一部を次のように改正する。

表

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