テレビなどで活躍中の人気タレント、ヒロミさん。
施主をまきこんだ家づくりに取り組む建築家、加藤渓一さん。
八王子出身のお二人に、八王子のあんなことこんなことを語っていただきました。
ヒロミ
1965年八王子市元八王子町生まれ。お笑いを経て、現在タレント・実業家として、多忙な日々を送る。近年、得意のDIY技術を活かしたリフォーム番組も人気。近著に「言い訳しない生き方」(KKロングセラーズ)。市制100周年「八王子100年応援団」の副団長。
加藤渓一(かとう けいいち)
1983年八王子市明神町生まれ、市内在住。一級建築士。平成22年studioPEACEsign設立。「妄想から打ち上げまで」を合言葉に、デザイン・工事を自分たちの「手」で行うHandiHouse projectを始動。平成27年第1回「これからの建築士賞」受賞。
俺たちの原点は八王子
八王子で育ったお二人に、工務店育ちという共通点があるとか。
ヒロミ:うちは実家が工務店で、家の横に作業場があってさ。ヒマさえあれば、木を切ったりしてたよ。大工修行はしてないけど、おやじの後ろ姿を見てたよね。うまいこと切るなーとか、釘はこうやって打つんだなとか。現場に手伝いに行かされて、釘袋付けられて、コレ打っとけって言われて。今みたいに電動工具があるわけじゃなかったしさ。
ご実家を継ごうという考えは?
ヒロミ:まったくなかったね。兄貴が建築科行ったし。俺、機械科行ったからね、あえて。車の整備士とかになろうかなって。大工になろうとは思ってなかった。
ここ最近は、ヒロミさんといえばリフォームと。
ヒロミ:子どもの頃からやってたからさ。ここになんかほしいなと思ったら、木を買ってきて、切って、塗って。それを見ていたスタッフが「ちょっとできますか?」と。おやじたちはどう思ってるか知らないけど(笑)。
加藤:僕も、ひいおじいちゃんが大工で、家の近くに作業場があって、そこで遊びながら育ちました。小4の時に実家を新築して、家ができる過程を近くで見てたら、設計士が設計して、大工さんが図面見ながら一人で作って、どんどん立体になっていくのがおもしろくて。もともと、レゴブロックや紙粘土で遊ぶのも好きだったので、建築に関わる仕事がいいなと。
そんな経験から、加藤さんの現在のお仕事があるんですね。
加藤:建築デザインと工事まで、一括してやっています。なるべくお客様をまきこんで、ものづくりのおもしろさ、現場のダイナミックさ、クリエイティブな感じが伝わるように取り組んでいます。
ヒロミ:お客さんにやらせるの?
加藤:はい。早くペンキ塗ってくれないと次が進まないんで、とか言って。 お金もらってるのに(笑)。
八王子の思い出つれづれに
お二人の八王子の思い出を教えてください。
ヒロミ:俺の育ったところなんか、ほんとに田舎で。40年前だからさ、道も舗装されてなくって、砂利道だったよ。八王子駅は、高校生のとき木造で、卒業してから駅ビルが建ったのを覚えてる。「織物のまち八王子」っていうオブジェがある駅前のロータリーをぐるぐる回ってたよ(笑)。
加藤:ぼくは、八王子駅前が地元なので、今とほぼ変わらない環境で育ちました。小学校の頃は浅川行って遊んで、高校生の頃は駅のまわりでカラオケ行って。
ヒロミ:そう、浅川も行ったなあ。あと高尾も遊び場だったね。高尾はいいとこだよな。八王子まつりは、夏のメインイベントだったよ。
加藤: 八王子って、八王子だけで完結してて、どこかにでかけなくても十分楽しめますよね。でもまとまりはない感じ。
ヒロミ:広すぎるんだよね。地元とか、ちょっとした範囲でないとまとまらないのかもね。
ヒロミさん、八王子に来られることありますか?
ヒロミ:たまにね。友だちのところに行くよ。たいていいるから、八王子に。八王子って、何でもできるから外に出ないんだよね、昔から。八王子で生まれて育って死んでいくっていうかさ。俺のまわりの同級生、ほとんど残ってるよ。
加藤: 僕のまわりも同じです。都心に行っても、結婚して家を買おうとなると、八王子に戻ってくることが多い。そのあたり変わらないですね。
おすすめの八王子グルメは。
ヒロミ:俺なんか子どもの頃、そんなうまいもの食ってたわけでもないし、ラーメン屋の「みんみん」くらい。こないだの八王子ロケのときに、おばちゃんが持ってきてくれて食べたよ。昔は八王子ラーメンなんて言葉はなかったし、行列もできてなくて、パチンコの合間に食べてたよ。
加藤:昔からたまねぎ入ってました?
ヒロミ:入ってたよ。同級生が「みんみん」で修業して、高校卒業して、まちなかに店出してる。そいつとは、高校も昭和一校で一緒だったの。
加藤:ヒロミさんの名前出したら、たまねぎ大目にしてくれたり…
ヒロミ:「昭和一校?」って聞いて振り向いたら、ヒロミさんがって(笑)。
加藤:ラーメンもそうですが、八王子って量が多くて安くておいしいもの、いっぱいありますよね。
ヒロミ:昔、八王子駅前のジャージャー麺のお店に行ったな。甘辛くてうまかった。久しぶりに行ってみようかな。
八王子リホーム特別プロジェクト、始まる?
「八王子リホーム」という番組で、実際に八王子にある幼稚園を大きくリフォームされましたね。
ヒロミ:最近やってることがDIY超えてるよね。ちょっとしたリフォームから始めた番組なんだけど、やりたいことが出てくるしさ、ここにあれ作るぞとか。みんな付き合ってやってくれてるけど、ちょっと範囲超えてるよね(笑)。
加藤:あれは、素人の方がやっちゃいけないレベルかと(笑)。
ヒロミ:まあ、プロの人がやるのとさ、俺みたいな素人がやるのとは違うんだけどな。DIYって失敗しても味みたいなところがあるから、なんとなくできるんだけどさ。
八王子リホームのTシャツや帽子、ご自分でデザインしたと聞きましたが。
ヒロミ:売ろうかなとか、いろいろ妄想してるんだけど、めんどくさいから何一つ(笑)。八王子出身っていうことで商売するの悪いなあと思うから、八王子で会社つくって税金落として…って、思う気持ちはあるんだけどさ(笑)。 まあ、東京で仕事してるから、ふるさと感はあまりないけど、子どものときに八王子にご迷惑おかけしてるから、楽しく生きた分(笑) 、八王子に恩返ししたいといつも思ってるんだ。 そう、今着てる八王子リホームパーカー、いろんな人にあげるんだけど、オークションで売られてたりするのよ(笑)。だったらネットで売ろうかなと。
加藤:僕、絶対買います(笑)。
中古物件をリノベーションするのがトレンドですよね。
ヒロミ:八王子でやってみたいなと思うよね。高く売ったら怒られるかな(笑)。 八王子にアパート買って、全部屋リフォームして、女の子専用にして、俺たまに行ける、みたいな(笑)。
加藤:修理に行けますね(笑)。
ヒロミ:女の子の方がきれいに使ってくれるし、音がうるさいとかないだろうし。かわいい部屋で勉強して、学生時代を楽しく過ごせればさ。
加藤:それ、絶対いいと思います。
ヒロミ:一軒家作るのは大変だし、建てるとなるとこっちは見守るしかない。だったら、中古物件買って、リノベーションして、学生が住めるようにしてあげられればなと。
加藤:都内だとDIY賃貸が流行ってますが、学生が多い八王子で盛り上がると、住むことが楽しくなりますよね。大学生にとって、賃貸って初めて自分の家を持つことで、その経験が実際に家を建てるときのスタートラインになっていく。そのとき、より自由に楽しんでくれる下地を作れるとおもしろいですね。
ヒロミ:八王子市が協力してくれるかな(笑)。
加藤:物件探すところから(笑)。
ヒロミ:八王子で何かやりたいとは思ってるんだよね。でも、実際やるとめんどくさいだろなー(笑)。それに、俺自身、八王子じゃなくて都内で住んでるのに八王子のことをやるって、ヤでしょ?
加藤:いえ、すごくうれしいです。
ヒロミ:同級の連中に声かけたら、協力してもらえるかなと。
加藤:そのプロジェクト、からみたいですね。
ヒロミ:おれの同級、めんどくさいよー。時代的に(笑)。
子どもさんにも、ヒロミファンが増えているとか。
ヒロミ:そう、子どもが八王子リホームをよく観てくれてるんだって。幼稚園の子たちが俺のこと知ってるんだよ。番組にもくるらしいのよ、子どもから。将来大工になりたいとか、今度うちをリフォームしてもらえますかとか、お年玉でためた2万円で部屋作ってもらえますかとかさ。それじゃちょっと足りないけど(笑)。
加藤:すごい。かわいいな。
ヒロミ:子どもがDIYできるキットを作ってあげようかなと思ってるの。親子で作んなさいっていう。宝箱とか、おもちゃ箱、いすとかのキット。プラモデルと一緒だから、親子で作って、色塗ってさ。
八王子の木を使ってもらえるとうれしいです。
ヒロミ:そこまでこだわんなくてもいいでしょ。そこからだとさ、林業からはじめないといけないからさ(笑)。
最後に、八王子のいいところを一言ずつ。
ヒロミ:まあ、一応東京でさ、山あり川あり。住みやすいまちだと思う。子どもを育てるのにもいい。あんまり都会にもなってほしくないし、ほどよい感じで人がいて、今くらいの感じを保ってほしいな。圏央道もできたから、関越にも東名にも早いし、ほんとによくなってるよね。
加藤:ぼくも同じで、中途半端なところというか、どっちにもよってない、都会すぎずいなかすぎない、真ん中がいい。どっちかに寄りすぎると、ライフスタイルが決まってしまうから。最近駅前がどこも同じ風景ですが、独特な雰囲気と人間性が残っているとうれしいですね。胸を張って、いなかだけど東京だぞと。
ヒロミ:八王子は東京だぞっていう戦い、よくやってるけどさ(笑)。