みんなの暮らし、聞いてみた。

助け合いの心が
当たり前のように
根付いているまち。

篠崎クリスティンさん

アメリカで生まれ育ち、夫とともに三代続く老舗うなぎ料理店を経営する傍ら、着物文化を広める活動をしているクリスティンさんに、海外の方からみた八王子の魅力についてきいてみました。

居心地が良くて、住みやすいまち

八王子で暮らすことになった
経緯を教えてください。

父の仕事の関係で、自宅にはよく日本人のお客様が遊びに来ていたこともあり、幼い頃から日本に興味がありました。アメリカの大学では日本語を専攻し、4年生の時に東京の大学に1年間留学しました。この時は、日野市のご家庭にホームステイでお世話になり、お正月には着物を着せてもらったことも。お隣の八王子市にも足を運んでいたので、とても賑わいがあるまちだなという印象がありました。
ホームステイの経験を通して、卒業後も東京で生活したいと思い、西八王子にひとり暮らしをして、英会話学校で教師として働き始めました。その後、築地の老舗料亭で修行を終え、八王子にあるうなぎ店を継いだ夫の賢治(けんじ)さんと出会い、結婚して今の地域に暮らし始めました。

卒業後も日本で生活したいと思ったのは
なぜですか?

生まれ故郷のボストンと似ているところが多くあると思ったこともあり、居心地が良く、住みやすそうなまちだと感じたからです。
八王子には高尾山をはじめとした豊かな自然があります。また、繊維産業で栄えた歴史や文化も魅力ですよね。近代的な建物と古い建物が混在していて、都会的でありながら、情緒ある街並みが残っている。学生が多いところも、ボストンと共通する点ですね。

八王子にずっとお住まいですが、暮らし始めた当時と、まちの印象は変わりましたか?

ホームステイ期間中にたびたび八王子を訪れていた時から、学生のまちということで、若い人で賑わっている印象はありました。ここ数年は、特に子育て世帯が増えてきたようで、ベビーカーを押したパパやママを、商店街でよく見かけます。これは、子育てするための良い環境が整備され、マンション開発などが進んだことにより、移住されるファミリー世帯が増えたからではないでしょうか。

インタビュー写真

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まちの人々が大切にする、
地域のつながり

ご自身の日本での子育てはいかがでしたか?

ただでさえ子育ては大変なのに、慣れない土地での子育てにはとても苦労しました。例えば、子どもが小学校に入学する際は、ランドセルやハンカチ、ランチョンマットなどの学用品を用意する必要があります。しかし、何を準備すればよいのか分からない状況で、家族以外に相談できる人もあまりいませんでした。
そこで、学校や地域のことをもっと知りたいと思い、子どもの小学校入学を機に、PTAや地域ボランティア活動に積極的に参加するようにしました。それをきっかけに、気軽に相談できる同世代や地元の知り合いができ、学校の先生とお話をする機会も増えました。

現在は、ご夫婦で地域を盛り上げる活動にも
取り組んでいらっしゃるそうですね。

商店街に関わる人たちは、商店街を地域づくりやまちづくりにおける重要な場所と考えています。そのため、地域の子どもたちが参加できるイベントを企画したり、多世代の住民が交流する機会を創るなどして、商店街をより元気にするための取組を進めています。地域の方とのつながりを大切に思い、自分たちでまちづくりに取り組む人が多いところは、このまちの特徴だと感じています。

インタビュー写真

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江戸時代から受け継がれる
文化を未来へも。
助け合いの心で、
まちに恩返しをしたい

母親業、お店の女将さん、地元でのイベントやボランティア活動など、様々な顔をお持ちですが、着物文化を広げるためのイベントも主宰されているそうですね。

着物には洋服にはない特有の色柄があり、そこに魅力を感じています。10年ほど前に着付けを本格的に習い始め、自分一人で着られるようになりました。
着物文化と密な関係を築いてきた八王子は、「桑の都」と呼ばれるくらい、古くから養蚕(ようさん)と織物で栄え、江戸時代は八王子宿という大きな宿場町として賑わっていました。今でも、その流れを引き継いだ織物の工場や工房がありますし、八王子芸妓(げいぎ)などの花街(かがい)文化も残っていますよね。
こうした歴史のある着物文化の魅力を未来につなげたいと思い、特に、若者へ着物を広めるための活動を呉服店の店主たちと一緒に取り組んでいます。
大学で行われる着付け教室や着物をテーマにしたイベントなどで実際に着物を着てもらうことで、もっと着物に興味を持ってもらえれば嬉しいですね。

最後に、クリスティンさんが考える
八王子の良さや魅力、誇れるところは、
どのような点だと思いますか?

八王子には高尾山をはじめとした豊かな自然と、長い時間をかけて育まれた歴史や文化があります。特に、私が思う本当の魅力は、助け合いの心を持った人が多く暮らしているという点だと思います。
ここ数年、八王子で暮らす海外の方も増えてきていますよね。私たち外国人にとって、まちの方々のサポートは日々生活するうえで大切な支えとなっています。お互いに手を取り合って前に進もうとする人々がたくさんいるということは、このまちが誇れるところです。私も商店街やまちでの活動を通して、温かく接してくれたこのまちの方々に少しでも恩返しができればいいですね。 (取材日:2023年1月)

インタビュー写真

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篠崎クリスティン(しのざき くりすてぃん)

アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市出身。大学4年生の時、日本に留学したのを機に八王子に移住。老舗うなぎ料理店の三代目の賢治さんと結婚し、夫と息子2人とともに八王子で暮らしている。

 

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