第14回都市景観セミナー

更新日:平成28年6月29日

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第14回都市景観セミナーを開催しました

第14回の都市景観セミナーは、平成20年3月15日(土曜日)クリエイトホールの第2学習室で行い、25名の方々にご参加いただきました。ありがとうございました。

日時:平成20年3月15日(土曜日) 午後2時から午後4時
場所:クリエイトホール 第2学習室

講師は、第8回のセミナー(平成17年11月13日開催、テーマ「街をデザインする~シビックデザインの考え方」)でも講演をして頂いた、拓殖大学工学部工業デザイン学科助教の永見豊(ながみ ゆたか)さんです。永見さんは2004年より拓殖大学で景観計画論や景観デザイン論などの講義を受け持っておられます。拓殖大学で講師をされる前は、民間の建設コンサルタント会社で主に橋梁デザインを手がけてこられました。

今回は「防犯と景観に優れたまちづくり」をテーマに、永見さんの講演とあわせて、永見さんが指導するシビックデザイン研究室で行った、市内の公園をモデルケースにした研究成果発表なども行いました。この研究は、昨年11月に開催された「市長と学生のふれあいトーク」でアイデア賞を受賞しました。

セミナー当日の様子

永見さんの講演の概要

なぜ景観と防犯か

景観設計については、昨今の財政難の中でデザイン面を重視した公共施設を造ろうとしてもなかなか整備を推進しにくい状況にあり、逆風を感じています。

一方、世間では犯罪が増加傾向にあり、住宅街での物盗りや痴漢、子どもを狙った犯罪などの話題がニュースを賑わしています。住みやすいはずのまちには、人通りの少ない道路での警戒や、児童の登下校を大人が見守るなど、ギスギスした雰囲気があります。

「安全で安心なまち」は地域への愛着心を高めます。また、「美しい景観づくり」は地域に誇りをもつ心を育てます。どちらも地域を大事にする、地域を好きになるという要素があり、一緒に考えることが重要です。こうしたことから、景観設計を行う上で「防犯」を課題の中心に置き、デザインの配慮事項として防犯を扱おう、と考えたのが、防犯を研究テーマとしたきっかけです。

今回の研究を行うに際して、小宮信夫さんの著書「犯罪はこの場所で起こる」(光文社新書)を参考にしました。

犯罪は「この場所」で起こる

犯罪を防ぐにはどうしたらよいか

まず、なぜ犯罪が起こるのか。その理由を考えて未然に防ぐ必要があります。犯罪の原因をなくすためには、犯罪者の病んだ心を直すことが重要です。しかし、公共施設を設計する人に何かできるだろうかというと、それはなかなか難しいことです。

では、人間ではなく場所に着目して、どんな場所で犯罪が起きているのか。犯罪が起きる場所に着目し、犯罪の機会を減らす発想に変えたほうがよいのではないか。

そう考えると、2つの要素が重要になります。犯罪者は、まず「入りやすい場所」「見えにくい場所」を探して選び、次に、その場所で人間や財物といったターゲットを絞り込んでいきます。犯罪のほとんどが、入りやすい場所と見えにくい場所で起きているとすれば、そのような場所を「入りにくく」、「見えやすい場所」に変えれば、犯罪は防げることになる。このような施設設計の考え方を「防犯環境設計」といいます。

犯罪事例

防犯環境設計の3つの要素

「防犯環境設計」の考え方では、抵抗性(犯罪に抵抗する力や気持ち)、領域性(入りにくい場所)、監視性(見えやすい場所)を高めることが、防犯のポイントになります。さらに、それぞれの要素は、ハード面の要素(恒常性、区画性、無死角性)とソフト面の要素(管理意識、縄張り意識、当事者意識)があいまって犯罪機会を減らします。ハード、ソフトのどちらが欠けても、いけません。

防犯環境設計の考え方

公園の安全

これらの要素をもとに公園の安全を考えた場合、次のようなポイントに配慮して景観設計を考えていくことが必要になります。

  • 公園を犯罪が起きにくい場所にするには、領域性と監視性を高めることが必要である。
  • 日本では、どこからでも入ることが出来、どこへでも逃げられる領域性の低い公園、犯罪者が隠れていても気づかず、襲われても周囲から発見されにくい、監視性の低い公園が多い。
  • 可能な限り、入りにくく、見えやすい場所へと改良していくことが望ましい。

公園の安全 その1

公園の安全 その2

公園の安全 その3

公園の安全 その4

公園の安全 その5

公園の安全 その6

市内の公園をモデルケースにした研究成果発表

つづいて、シビックデザイン研究室で行った、市内の公園をモデルケースにした防犯と景観の関係についての研究成果を発表して頂きました。発表者は、工業デザイン学科4年生の渡辺大介さんです。

渡辺さんほか研究室の皆さんは、八王子市内の30か所以上の「街区公園」(地域の人たちが利用する、小さな公園)を対象に、「防犯」「安全」「景観」の視点から調査を行いました。そして、地域によって主な利用者の年齢が異なることや、年齢により防犯・安全の内容が異なる点に着目し、対象を「幼児」「小学生」「高齢者」のそれぞれに特化した、防犯・安全・景観を向上する公園のデザインについて、具体的な提案を頂きました。また、その結果を活かして、より規模の大きな「近隣公園」である高倉南公園を対象として、利用者の年齢別にゾーニングした具体的なデザインを提案され、会場にはその模型もお持ちいただきました。

改修提案の模型(全体)

改修提案の模型(拡大)

会場との意見交換

永見さんの講義と渡辺さんの研究発表を受け、会場の参加者の皆さんと意見交換を行いました。永見さんの講演や渡辺さんからの提案に対する質問や意見を始め、「公園の本来の意義は何か」や「良い公園とはどんな公園か」など、非常に活発な議論が交わされました。以下は、会場で頂いたご意見の一部です。

  • 危険な地域では利用目的を特化することも必要かもしれないが、比較的安全な地域では多様な公園の方が良いのではないか。
  • 近隣公園の利用者層は、時間帯によって使い分けられている。年齢層別に特化する必要があるだろうか。
  • 噴水はあるとうれしいが、維持管理や安全性などいろいろと問題もあるのではないか。
  • そもそも、公園の目的とはなんだろうか。
  • 子どもは公園に行くと水に入ったり木に登ったり、羽目を外したがるもの。区切られた中で子ども達がお行儀よく遊ぶとは思えない。羽目を外すことを前提に設計された公園があるとうれしい。
  • 住まいの近所の公園には、ほとんど人がいない。どうしたら人が集まるのだろうか。人の集う公園が良い公園ではないか。

などなど。

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