東京のふるさと納税
——牧場が続くということの意味
子どもたちが牛に会える場所があるということ。家族連れが週末に気軽に訪れられる場所があるということ。命の成り立ちを学べる場所があるということ。それが、東京に牧場が続くということの意味だ。
「東京のふるさと納税って、ちょっと不思議な感じもあると思うんですけど(笑)。でも、買っていただくことによって、牧場という場所、そして酪農という産業が続いていくんです」
磯沼牧場では、日曜日に「乳しぼり体験教室」や「バター作り・モッツァレラチーズ作り体験教室」を開催している。月に1度は「カウボーイ・カウガールスクール」も。都内とは思えない広大な牧場で、子どもたちは牛と触れ合い、命を学ぶ。
「来てくださった方から『ここがあって本当に良かった』と言われたり、子どもたちが喜んでいる姿を見ると、私たちもここで牧場を続けている意味を感じます」
高尾山という観光資源を持つ八王子。しかし、意外と市内の人でさえ「牧場があるのは知ってるけど、行ったことない」という人が多い。今後は幼稚園、保育園、小学校とこれまで以上に連携を深め、八王子の子どもたちに牛がどれくらいのサイズなのか、ミルクがどうやってできるのか、実際に体験してもらいたいと杏さんは語る。
「せっかく八王子にこういう場所があるんですから、もっとたくさんの人に来てもらいたい。特に、八王子で育つ子どもたちには、『自分のまちに牧場がある』って、誇りに思ってもらえたら嬉しいですね」
祖父が始め、父が守り抜いてきた牧場。歴史を受け継ぎながら、そして杏さん自身も、自分ならではの強みを活かして牧場を盛り上げている。2児の母として、客層と同じ世代を生きているからこそ、一般消費者の目線で「こういうものがあってほしい」という思いをアイデアとして形にできる。牧場育ちでありながら、牧場に染まりすぎていない。その絶妙な距離感が、磯沼牧場の新しい魅力を生み出している。
朝搾ったばかりのミルクで作るプレミアムヨーグルト。その一口には、磯沼牧場の、そして八王子というまちの、温かな物語が詰まっている。
朝搾りのミルクで作る、特別なヨーグルト。
磯沼牧場から、あなたへ。
今回お話を聞いたのは
磯沼牧場 磯沼 杏 さん
(取材日:2026年1月)