第17回都市景観セミナーを開催しました

第17回の都市景観セミナーを、10月24日（土曜日）と12月5日（土曜日）の2日間にわたり、大横福祉センター東側棟会議室および東平岡公園において開催いたしました。第1日目は15名、第2日目は14名の方々にご参加いただき、講師としてお招きしました色彩計画家の吉田愼悟さんのご指導のもと、東平岡公園の遊具のデザインを考えました。

第2日目には、みなさんに塗装作業をしていただくことを予定しておりましたが、あいにくの雨となってしまい作業は行えませんでした。しかしながら、ほぼ完成状態となった遊具をご覧いただき、セミナーの感想や八王子の景観づくりについて活発な意見交換をさせていただくことができました。

ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。

講師 吉田愼悟さん プロフィール

色彩計画家・株式会社カラープランニングセンター取締役
武蔵野美術大学基礎デザイン学科を卒業後渡仏、ジャン・フィリップ・ランクロ教授アトリエで環境色彩計画を学ぶ。

武蔵野美術大学客員教授、九州大学講師。
東京都景観審議会・屋外広告物審議会委員、富山県景観アドバイザー、小田原市都市計画審査会委員、横須賀市景観審議会委員ほか。
著書に「まちの色をつくる」（建築資料研究社）、「景観法を活用するための環境色彩計画」（丸善）など

第1日目 ガイダンスおよび遊具デザインの検討

ガイダンス

公園の遊具のデザインを考えるにあたり、自然の力を借りて色を考えようということで、「自然はカラリスト」と題して、自然の中の色についてお話し頂きました。

吉田さんは、「自然の色づかいを学べば、都市環境はもっとよくなる」と考えておられるそうで、今回のセミナーでは、公園の遊具の色は、公園にある木々の葉や土、石など自然がもつ色を借りて、その組み合わせでデザインを考えようということをご説明いただきました。

現地調査

東平岡公園に行き、デザインを考える遊具を実際に見ながら、公園やその周辺にある自然の色を調査しました。落ち葉を拾ったり、色見本帳を使って土の色を測りました。

グループ作業

現地調査の結果をもとに、3グループに分かれて遊具の色やデザインを検討しました。それぞれのグループで考えられた、個性的で素敵なデザイン案を、各グループの代表者に発表していただき、参加者全員の人気投票をした後に講師の吉田さんにデザイン案を決定していただきました。

その結果は。

デザイン案決定

「四季おりおりの葉の色を基本カラーとして、つみ木ブロックをイメージして楽しく配色。こどもをターゲットとして、砂場の表と裏から「おままごと」ができる、楽しい色とりどりのつみ木のマンションをイメージしたデザイン」である「はっぱのつみ木」というタイトルのデザイン案が採用されました。

この案をもとに、講師の吉田さんが色彩の調整をしてデザインを決定しました。このデザインを公園管理者にお渡しし、塗り替え作業を進めていただきました。第2日目には、ご参加のみなさんと仕上げの塗装作業をする予定としました。

• ぱっぱのつみ木（PDF形式 618キロバイト）

第2日目 塗り替え後の遊具の確認と意見交換

塗装作業結果の確認

実際に塗装作業を行い、参加者全員で仕上げを行う予定でしたが、あいにくの雨となってしまったため、ほぼ完成の状態まで塗装していただいた遊具を確認しました。作業前の写真と比較しながら、塗り替えたことで公園の雰囲気がどのように変化したか、実感していただくことができました。

意見交換

公園の遊具のデザインを考え、決定したデザインが実物になったことについて、ご参加いただいたみなさんからご意見やご感想をいただきました。

また、八王子のまちの色彩について、事例紹介をもとに意見交換を行いました。

今回のセミナーは開催が紅葉の時期であったため、赤や黄色など、秋の自然の色を借りて公園の遊具をデザインしました。意見交換では、桜が咲く春や、暑い夏に、このデザインがどう見えるのか、といった期待と不安が入り混じったご意見もありました。

講師の吉田さんからは、「春や夏に実際に東平岡公園を訪れるのを楽しみにしておきましょう」とのお話しがあり、また、このセミナーを機に、八王子に「春の色の公園」や「夏の色の公園」をつくってみてはどうか、とのご意見もいただきました。

雨のために、実際に塗装作業ができなかったのは残念でしたが、みんなで考えた遊具の色やデザインが実際に形となったことで、色彩がまちの景観に与える影響を実感できたことはたいへん有意義なものとなったのではないでしょうか。