第10回都市景観セミナー

更新日:平成28年6月29日

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第10回 都市景観セミナーを開催しました

第10回の都市景観セミナーは、11月11日(土曜日)クリエイトホールの視聴覚室で行いました。あいにくの小雨がちな一日でしたが、37名の方々にご参加いただきました。ありがとうございました。

日時:平成18年11月11日(土曜日) 午後2時から午後4時45分
場所:クリエイトホール視聴覚室

講師は前回のセミナーに引き続き、多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科教授の田口敦子さんです。今回のテーマは「まちの色と屋外広告物のデザイン」とし、田口さんの講演のほか、実際にまちに出ての色彩調査やグループ作業などを行いました。

セミナーの様子

ガイダンス

色彩調査の前に、屋外広告物と景観の関係性や色彩調査の方法などについて、簡単なガイダンスを行いました。

まず、屋外広告物を「景観」の視点から考えるときに重要な2つのポイントについてお話し頂きました。

一つ目のポイントは、色彩の調和です。「情報発信」という強い自己主張をする存在に対して、周辺景観との関係で「調和」をどのように作り上げていくか、ということです。

二つ目のポイントは、設置場所と位置の関係です。屋外広告物はクリップオンされる(後から取り付けられる)ものですから、どの位置にどの大きさで置かれるかによって、調和の判断が変わってくるということです。

また、色彩調査の方法についてもご説明いただきました。

色というものは、物理学的にはほぼ解明されていますが、動物によっては色が判断できないように、人間は人間の目の能力で色を判断しています。通常、専門家が色彩調査を行う場合、目で判断して色を読み取る「視感測色」という方法を用いてカラーパレットを作成します。この方法で判断する色が最も正しい色です。

ところが、この方法は非常に手間と時間がかかります。そこで、田口さんの研究室では、「写真測色」という方法を開発しました。カメラが読み取った色をパソコン上で機械的にカラーパレットにしてしまう。人間の目で見た色とは若干ずれますが、全体の傾向は捉えることが出来ます。

このあと行った色彩調査では、この「写真測色」の方法を用いて分析を行いました。

色彩調査ソフト(監修:多摩美術大学環境色彩研究会、(社)農村環境整備センター)

写真測色カラーパレットの操作画面

色彩調査

講義室でのガイダンスに続いて、10人程度の小グループに分かれてJR八王子駅北口のマルベリーブリッジに繰り出し、駅前の景観、特に屋外広告物をテーマに色彩調査を行いました。

参加者の皆さん、デジタルカメラを片手にサポートしていただいた多摩美術大学の先生方や大学院生のみなさんの説明に熱心に耳を傾け、質問や意見交換を重ねました。

色彩調査の様子

色彩調査の様子

色彩分析ソフトを用いた分析

色彩調査のあと講義室に戻り、調査で撮影してきた写真をパソコンに取り込み、色彩分析ソフトを用いて、グループごとに色彩の分析を試みました。

色彩分析の様子

色彩分析の様子

田口先生の講義

多摩美術大学 田口先生

色彩調査・分析の後、田口さんに講義をしていただきました。

講義は、色彩とは何か、色の調和とは何か、屋外広告物のコントロールの事例、などについてお話しいただきました。

まず、色彩とは何かについてお話をいただきました。

色というものは科学的に解明されており、色を表現するシステムがいろいろとあるとのこと。その中から、代表的な2つのシステムについて、ご説明いただきました。

1 マンセル表色系

科学者のマンセルが作ったシステムで、色を立体的に表現し、色相(色味)・彩度(鮮やかさ)・明度(明るさ)の3種類の特性で捉えます。このシステムでは、言葉で説明しようとすると非常に曖昧になりがちな「色」を記号で表現できるため、色についてコミュニケーションするときに一定の正確さを保つことが出来ます。

マンセル表色系

マンセル記号の表記法

2 トーン

マンセルは色を立体的に捉えたのに対して、平面的に表現します。各色相の色を彩度、明度ごとに17のグループ(トーン)に分類し、彩度と明度の2種類の特性で捉えます。同じトーンの色はイメージが類似しているため、トーンをそろえれば、どの色を使っても調和しやすく、まとまり感のある配色を作ることが出来ます。
この考え方は、景観を考えるときに非常に重要です。農村部では自然の色が基調色。駅前などの都市部では、建物の色が基調色になります。基調色に対して建物などの色を考えるときは、トーンの考え方が非常に使いやすく、「色味は全部使って良いから、彩度はこうしましょう、明度はこうしましょう」、という捉え方が可能になります。自治体などが色彩のガイドラインを作るとき、トーンの考え方が元になることが非常に多くあるということです。

トーンの編成

続いて、「調和を作る」ってなんだろうとのお話をいただきました。

調和には融合的調和と対比的調和の2種類があるとのこと。一般的に、色をそろえる(融合する)ことが調和だ、と考えている方が多いのですが、対比的な調和というものもあります。この考え方は、デザインの仕事をする上で、非常に重要な判断です。農村の緑の中に咲く赤い花は美しいものです。対比的な調和もまた美しいものなんです。

農村景観における対比的調和と融合的調和

対比的な調和は、活き活きとした景観を作るときに重要な調和の考え方です。ですから、都市部の繁華街は対比を見つけていく必要があります。一方、融合的な調和は落ち着いた穏やかな調子になりますから、住宅地や文教地区などに適する調和でせす。この調和の考え方は、色味以外にも彩度や明度にも共通します。

まず、対比的な調和を作るのか、融合的な調和を作るのかを考えなくてはいけません。

融合的調和と対比的調和

また、対比的な調和を考えるときに非常に重要なのは、面積の問題です。圧倒的に大きな面積と小さな面積の関係が色の対比として組み合わさると美しい。あまりにも面積的に大きくなりすぎると、ノイズ(視覚的な騒音)になってしまいます。屋外広告物の場合、この問題は設置場所の問題になります。高い位置に設置すると、どうしても大きなものになってしまいます。ヒューマンスケールと言って、歩いている人たちから見える低層部に置くことで、結果的に面積対比がうまく作れます。目立つ高い位置ではなく低い位置に置いて、その代わりに目立つ色を使う。これが今の考え方です。


また、屋外広告物には機能性の問題があります。道路標識などのサインにも共通する問題ですが、情報発信メディアですから「伝える」機能が大切なわけで、完全な融合型はありえません。背景から完全に融合させないで抜け出る程度に目立つ必要があります。

ガードレールの機能性を活かした調和

ここで、調和の問題の難しさを指摘されました。

たとえば、エメラルドグリーンの活用が挙げられます。自然の中の緑との融合的調和を意識して、街灯などにエメラルドグリーンを使う例が多いのですが、日本の緑は黄色味がかっているため、青味がかった緑であるエメラルドグリーンを入れると、かえって異物が入ったようになります。これは心理学的にもはっきりしていて、赤を使うより気味が悪くなります。

微妙な色味の差異による調和の違い

エメラルドグリーンに塗られた街灯が、周辺から浮いて見えますね。

このように調和の問題は結構難しいのですが、ある程度のルールを覚えておきさえすれば、調和した景観が作れるとのことです。

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