第4回都市景観セミナー

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第4回都市景観セミナーを開催しました4回目となったセミナーは、1月31日(土曜日)午後2時からJR八王子駅北口のクリエイトホールの第二学習室で行われました。
ご参加いただきました42名の方々ありがとうございました。

今回のテーマは「まちの色をつくる」と題して、色彩計画家の吉田愼悟さんと昨年3月に工学院大学建築都市デザイン学科を卒業された大澤佳代子さんの講演と意見交換を行いました。
景観を構成する要素としての色彩の関係性や、または、屋外広告物による景観への影響について考える機会となりました。
また、当日の進行は大澤さんを指導された工学院大学建築都市デザイン学科助教授の野澤康先生に行っていただきました。

講師紹介

吉田愼悟さん
色彩計画家:吉田愼悟さんの紹介
(カラープランニングセンター取締役)

武蔵野美術大学基礎デザイン学科を卒業後渡仏、ジャン・フィリップ・ランクロ教授アトリエで環境色彩計画を学ぶ。
現在、武蔵野美術大学、長岡造形大学などの講師。
著書に「まちの色をつくる」(建築資料研究社)など

多くの自治体での景観色彩ガイドラインの策定にかかわった実績をお持ちで、景観アドバイザーをされています。

セミナーの内容

吉田愼悟さんの講演

セミナーの前半は、「まちの色をつくる」と題して、環境色彩計画の観点から景観と色彩についてスライドを使った講演をしていただきました。

「環境色彩デザインでは、色彩の関係性が重要です。例えば、建物の色を何にするかと考えた場合、自分の好む色だけを考えてしまうことが多い。また、行政やデザイナーなども仕事を頼まれると何かしなければいけないと思い、周辺との関係性を考えずにデザインしてしまう。」

「街路樹よりも彩度が高い建物が地域の景観資源を壊している事例や、建物が目立ち過ぎて交通標識が目立たなくなってしまい、安全性を損なっている事例が見られる。」「そのまちで何を見せたら良いのかをみんなで考えることが重要だと思います。そのために、周辺の色彩など地域についての調査が必要になってくると考えます。」

「このような中で、合わない色彩を抑える程度に考える。あまり厳格にし過ぎると変化のない退屈な景観をつくってしまう恐れがあります。」

「もともと日本は瓦や土壁などの材質による景観があった。」「景観は地域に蓄積された特性をベースに考えていくべきだと思います。」

藤沢市の景観形成にかかわってきた経験から江の島の色彩改善の事例を紹介していただきました。

「以前はヨットハーバーができたり意図不明のモニュメントを置いた公園ができたり景観のコンセプトに統一性が欠けていました。そこで、江の島の歴史と風土(岩肌や樹木の緑など)を調査し、これらと調和した景観色を基調とするガイドラインを策定してみました。」

「商店街で既存の色彩の明度、彩度を下げ、墨文字を使った看板や、暖簾を使うなど和風を演出するため、メーカーや材質を指定し素材を選定することなどを行い、5年ぐらいかけてみんなでまちの色をつくっていった。個々の商店などが関係性を持っていったことでまちとして個性的になり、集客効果を高め、賑わいをもたらすようになっていった。」「賑わいをもたらし続けるためには、イベントなどの活用も必要になってくる。」「このような色彩のコントロールにより景観が向上する結果、儲かることにつながった事例があると人々は注目をしてくる。」

市街地の景観については

「市街地の色彩を見たとき、どこのまちでも建物の色についてはあまり特徴がでてこない。建物に付いた広告や看板類は、個々が強調し過ぎ、全体としてまとまった場合に乱雑で、整理が必要だと思います。例えば、3階以上は看板などについての規制をする。しかし、低層階の部分については、賑わいを持たすために目立つ色をテーマに決めるなどの演出を行い、メリハリをつけることも一つの方法ではないでしょうか。」

色彩については関係性が重要であること。また、スライドにより他の都市の好例、悪例の紹介を通じ、戦災により復興した市街地や新しい住宅地域においても必ずその地域の特徴となる色があるとお話をいただきました。

大澤佳代子さんの講演

後半では大澤佳代子さんに講演をしていただきました。

工学院大学建築都市デザイン学科在学中に八王子市の中心市街地を事例として研究された「屋外広告物による景観への影響に関する研究」をベースに、西放射線ユーロードの景観についてパワーポイントによる映像を使った講演をしていただきました。

「西放射線ユーロードの街並みを他の都市と比べた場合、建物の色彩や壁面に設置されている看板類は以外に目立たず、かえって寂しいくらい。ではなぜ屋外広告物による都市景観への影響があると感じるのか。」「歩行者の視点で目に入ってくるものと入ってこないものを考えてみました。」

パソコンを使ったシミュレーションにより、屋外広告物の他に街路樹を囲う置き看板、客引き看板持ちの人、商品陳列などが歩行の妨げになっており、景観に対してマイナスの要素になっていることを指摘されました。その上で屋外広告物を除去してしまうのではなく、看板や商品をお店側にセットバックさせることや、樹木の周りに看板を置かないことなどのルールが必要であると提案されました。

西放射線ユーロードの模型をつくり、それを使った景観のシミュレーションによる映像を使った講演は、参加された方々から分かり易いとの高い評判を受けました。その後の意見交換の中でも早急に対応を望む声があがりました。

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