2001年 ゾウの化石発見
平成13年12月(2001)北浅川右岸河川敷(清川町の対岸)で、ステゴドン属の象
(※1)の化石−切歯(キバ)2本(※2)と臼歯6点(※3)を発見。
発見したのは慶応義塾幼稚舎の相場博明教諭(元・元八王子中学校教諭)
発掘状況(上の写真のように、キバはX形に重なっていました。理由は不明です)
※1 ステゴドン属の象−臼歯のエナメル質の稜(りょう)が屋根の形をしている
ため、屋根の意味のstegeと歯の意味の odonsの合成語で、この歯の特徴を
持つ象のグループ。20種類くらいの象がいました。
現在は、全部絶滅。
※2 牙(キバ)−正式名は切歯(せっし)
北浅川河川敷で発見されたものは長さ約1.6m、弧にそった長さ1.8m
※3 臼歯 上の歯 左右1点ずつ、下の歯 左2点 右2点の計6点
ゾウの化石は、臼歯の特徴から若い成獣で、牙が大きいので、オスと考えられます。
臼歯の大きさから、肩の高さが2.5〜3mと考えられます。
ゾウは頭を北向きに、仰向けになっていました。
・ 一つの個体(一匹のゾウ)で2本の牙と6点の臼歯が出土したのは、日本初。
・ 骨格化石と足跡化石が、同じ地層から発見されるのは珍しい。
ゾウの足跡と考えられる足跡化石 2002年撮影
(現在は水に削られてありません)
平成14年(2002)7月、同じ場所から骨格化石の一部を発見。
ハチオウジゾウ発掘場所 2002年撮影
石で囲んだ向こう側が発掘場所(現在は水に削られて地形が変わっています)
発掘現場説明会 2002年(手前の皆さんが立っている中央が発掘現場です)
キバ化石クリーニング
まわりの岩ごと掘り出して、岩の部分を取り除いていきます
2010年 ハチオウジゾウ 新種に認定
平成22年(2010)5月
相場教諭ほかの論文がイギリス古生物学会誌「パレオントロジー」に掲載。
臼歯が、ミエゾウとアケボノゾウの中間的な特徴を持ち、新種と認められた。
学名 ステゴドン プロトオーロラエ
(アケボノゾウ(ステゴドン オーロラエ)の祖先という意味)
ハチオウジゾウは通称名
ゾウは日本列島で進化した
大陸からやって来たゾウは日本列島の中で小型へ進化したと考えられます。
ツダンスキーゾウ → ミエゾウ → ハチオウジゾウ → アケボノゾウ
(それぞれのゾウの詳しい形はわかりません。肩の高さで比べてください)
ツダンスキーゾウ −約530万年前に大陸からやって来たと考えられています。
(仙台市で出土)肩高3.5m
ミエゾウ(シンシュウゾウ) −日本では最大の大型のゾウ
(三重県、長野県などで出土) 肩高3.6m
ハチオウジゾウ −肩高2.5〜3m
アケボノゾウ −日本だけから見つかるゾウ(大陸では見つからない)
日本で独自に進化したと考えられる小型のゾウ 肩高1.7m
(日野市の多摩川、三重県いなべ市、滋賀県多賀町などで出土)
ハチオウジゾウ 230万年前の想像図(水辺で、メタセコイアの森がありました)
コニカミノルタ サイエンスドームでは切歯(キバ)、歯のレプリカを展示
(展示室は公開休止中)
ハチオウジゾウの切歯(牙)2本、歯6個のレプリカ展示し、
日本のゾウの進化を解説をしています。
奥の2本がハチオウジゾウのキバ(レプリカ) キバ(レプリカ)
手前の折れたものが2012年発掘のキバ(実物) 今は触れることはできません
ハチオウジゾウの歯6個(レプリカ) 右手前の歯の一部が岩の表面に出ていました
2012年に浅川河川敷から発見された切歯(キバ)1本(実物)も展示しています。
ゾウの種類や年代は不明です。(上のキバの写真の白色の折れたキバ)
矢印がキバ 2012年発掘
とがった先端が奥に入っています。
触れているところはキバではありませんでした。
慶応義塾幼稚舎サイエンスミュージアム ハチオウジゾウについて(外部リンク) |