第1章 計画策定にあたって 1 計画策定の背景及び目的 八王子市では、平成12年に八王子市障害者計画を、平成18年に八王子市障害福祉計画、そして、平成30年には八王子市障害児福祉計画を策定しました。これらの3つの計画は、時代の変化や障害者のニーズに的確に対応するため見直しを重ねながら、障害者の日常生活の支援や社会参加の促進、権利擁護の推進など様々な施策を実施してきました。 この間、国においても障害者に関連する制度は大きく進展してきました。 平成18年に身体障害、知的障害、精神障害の3障害の福祉サービス内容を一元化するため、障害者自立支援法が施行されました。この制度の抜本的な見直しが行われた以降は、障害者基本法の改正や障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律が施行されるとともに、平成26年には国連総会で採択された障害者の権利に関する条約を批准し、平成28年には障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されました。 また、平成28年には障害者総合支援法が改正され、地域生活の支援を進めるための新たなサービスの創設や、高齢の障害者に対する介護サービスの円滑な利用、障害児支援のニーズへの対応などの取組が盛り込まれました。その後も文化芸術活動の推進や聴覚障害のある人などの電話利用の円滑化など、様々な関係法令の整備が進められました。 さらに、令和4年には障害者等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害者等が希望する生活を実現するために障害者総合支援法等の改正が行われ、障害者等の地域生活の支援体制の充実などを行うことで、障害者や難病患者等が安心して暮らし続けることができる地域共生社会の構築に向け、より取り組んでいくことが示しめされました。 国の動きに対し本市では、平成24年に障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例を制定し、合理的配慮の義務化や、障害理解教育等に取り組むとともに、地域の社会資源を活かした、障害者の日常生活を支援するための地域生活支援拠点の整備や重度障害者を受け入れている日中活動系サービス事業者への支援、医療的ケア児等コーディネーターの配置など、障害者やその家族が地域で安心して生活できる環境づくりを推進してきました。 また、令和5年からは、農福連携による障害者の就労や居場所づくりを推進し、担い手不足や高齢化が進む農業分野における新たな担い手確保にもつなげられるよう、障害者と農業者をつなぐ支援などを実施しています。一方では、障害者の高齢化や重度化なども進んでいる現状があり、障害者が希望する地域生活の継続・実現には、必要なサービス量の確保と適切な支援のさらなる実施が求められており、その時代とニーズに即した障害福祉施策の推進や、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築などが必要となっています。 本市では、こうした背景を基に、障害者やその家族、難病患者等が地域や職場で生きがい・役割を持ち、その人らしく安心して暮らすことができるよう、国の障害者基本計画第5次における施策の基本的な方向性や、これまでの取組における課題等を踏まえ、障害当事者等のニーズに即した障害福祉施策を展開し、本市の基本構想・基本計画である八王子未来デザイン2040の都市像の一つとして目指す健康で笑顔あふれる、ふれあい、支えあいのまちの実現につなげていくため、本計画を策定しました。 2 計画の位置づけ (1)法的な位置づけ ①八王子市障害者計画 障害者基本法に規定される市町村障害者計画であり、計画の策定にあたっては、国の障害者基本計画及び東京都の障害者基本計画を基本に定める、市の障害者の状況等を踏まえた施策の実施に関する基本的な計画です。 ②八王子市障害福祉計画 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制を整備し、自立支援給付及び地域生活支援事業の施策を円滑に実施するための計画です。 ③八王子市障害児福祉計画 児童福法に基づき、障害児通所支援、障害児入所支援及び障害児相談支援の提供体制を整備し、障害児通所支援等の施策を円滑に実施するための計画です。 (2)市の関連計画との関係 本計画は、八王子未来デザイン2040八王子市基本構想・基本計画を最上位計画とする障害者福祉に関する個別計画であり、第4期八王子市地域福祉計画における対象者別計画として、理念や施策の整合・調和を図っています。 3 計画の期間 障害者計画は、令和6年度から令和11年度までの6か年を計画期間とします。これは、上位計画となる第4期地域福祉計画の期間と整合を図るとともに、中期的な視点を持って障害福祉施策を構築し取り組むことで、より効果的な事業展開を図れることから、地域の実情によって柔軟な期間設定ができるとする国の基本方針を踏まえ、6年間としたものです。 第7期障害福祉計画・第3期障害児福祉計画については、国が令和6年度から令和8年度までの3年間について基本指針を示していることから、同期間の3年間の目標値等を定めます。令和9年度から始まる第8期障害福祉計画・第4期障害児福祉計画については、令和8年度に示される国の基本指針を鑑みた上で、目標値等を定めることとします。 なお、同計画の策定にあたり、障害者計画の内容について、必要に応じて中間見直しを行うこととします。 4 計画の策定体制 本計画については、八王子市社会福祉審議会の障害者福祉専門分科会に計画策定部会を設置し、策定しました。計画策定部会は、障害当事者や学識経験者、障害者福祉・地域福祉関係者に加えて、公募市民や学校関係者、地域や商工関係の代表など、幅広い市民・関係者で構成しており、多様な視点から地域全体で障害者を支え、地域のつながりを確保できる体制づくりなど、今後の障害福祉施策について協議しました。 また、障害のある方の生活実態やニーズなどを把握するために、八王子市障害者アンケート調査を実施するとともに、障害者地域自立支援協議会等から現状課題を把握し、その結果を策定部会での議論に活かしながら、計画の内容に反映しています。 5 計画におけるSDGsの取組 SDGs持続可能な開発目標とは、平成27年の国連サミットで採択された持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて掲げられている、令和12年までに持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットです。 発展途上国向けの開発目標であるMDGsミレニアム開発目標の後継として採択され、発展途上国のみならず、先進国を含む国際社会全体の開発目標です。地球上の誰一人として取り残さない社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題に対する総合的な取組が示されています。 本市においては、基本構想・基本計画である八王子未来デザイン2040におけるまちづくりの基本理念人とひと、人と自然が響き合い、みんなで幸せを紡ぐまち八王子に基づき定めた6つの都市像私たちが目指すまちがSDGsの理念と方向性が一致しているため、基本計画に定めた施策を実行することで、引き続きSDGsの17のゴールの達成に貢献していきます。 本計画において、SDGsの17のゴールのうち特に関連が深いものは、3 すべての人に健康と福祉を、4 質の高い教育をみんなに、5 ジェンダー平等を実現しよう、8 働きがいも経済成長も、10 人や国の不平等をなくそう、11 住み続けられるまちづくりを、16 平和と公正をすべての人に です。