第2章 障害者福祉の現状と課題 1 障害者を取り巻く現状 (1)人口の推移  本市の総人口は、令和3年(2021年)の561,344人から、令和5年(2023年)の561,034人と3年間で310人の減少となっています。一方で65歳以上の高齢者人口は増加しており、令和3年(2021年)に比べ、令和5年(2023年)では約4%増となっています。 (2)障害者手帳所持者数の推移 ① 身体障害者手帳所持者数の推移 身体障害者手帳所持者数は、ほぼ横ばいとなっています。令和3年(2021年)では15,740人でしたが、令和5年(2023年)では15,564人となっています。これは、令和3年(2021年)に比べ、約1.1%減となっています。 ② 愛の手帳(東京都療育手帳)所持者数の推移 知的障害者の愛の手帳所持者数は、年々増加しており、令和3年(2021年)では4,786人でしたが、令和5年(2023年)では5,068人となっています。これは、令和3年(2021年)に比べ、5.9%増となっています。 ③ 精神障害者保健福祉手帳所持者数の推移 精神障害者保健福祉手帳所持者数は、年々増加しており、令和3年(2021年)では6,222人でしたが、令和5年(2023年)では6,986人となっています。これは、令和3年(2021年)に比べ、12.3%増となっています。 (3)障害福祉サービス利用者数等の推移 障害福祉サービス利用者数は年々増加しており、令和3年(2021年)では4,774人でしたが、令和5年(2023年)では5,134人となっています。これは、令和3年(2021年)に比べ、約7.5%増となっています。   (4)特定疾患医療受給者証等所持者数の推移 ① 特定疾患医療受給者証所持者数の推移 難病患者等であることを示す特定疾患医療受給者証所持者数は、年々増加しており、令和3年(2021年)では5,929人でした。令和5年度(2023年度)については、12月に都から発表されますので、その後、掲載します。 ② 小児慢性特定疾病医療受給者証所持者数の推移 小児慢性特定疾病の患者であることを示す小児慢性特定疾病医療受給者証所持者数は、年々増加しており、令和3年(2021年)では484人でした。令和5年度(2023年度)については、12月に都から発表されますので、その後、掲載します。   参考:保育所等における医療的ケア児の受入状況 近年の医療技術の進歩に伴い、医療的ケア児数は年々増加しており、保育所等における医療的ケア児の受け入れのニーズも高まっています。 医療的ケア児は、医療的ケアと医療機器による支援を日常的に必要としており、保育所等において安心して保育の提供を実施するためには、適正な受け入れ体制の整備と医療機器の配備が必要です。 本市においては、安全な医療的ケアと医療的ケア児の発達に応じた保育の提供のため、令和3年(2021年)に「医療的ケア児の保育所等受入れガイドライン」を策定し、保育所等への情報の発信等に努めています。 今後も、医療的ケア児への適正な保育の提供がされるよう、受け入れ態勢の整備等に努めていきます。   2 障害者の教育環境・就労状況 (1)教育環境 ① 市内小中学校への就学状況 令和5年度(2023年度)に、新たに小学校へ就学した対象の市内の児童数は3,956人で、新たに中学校へ就学した対象の市内の生徒数は4,711人となり、年々減少傾向にあります。 ② 市内小中学校の特別支援学級、通級指導学級の状況 令和5年(2023年)5月1日現在の市内小学校の特別支援学級の児童数は588人で、市内全体の児童数の2.3%、学級数は88学級で、市内全体の学級数の8.8%となっています。通級指導学級の児童数は、167人で市内全体の児童数の0.7%、学級数は12学級で、市内全体の学級数の1.2%となっています。特別支援教室の児童数は1,445人で、市内全体の児童数の5.7%となっています。 令和5年(2020年)5月1日現在の市内中学校の特別支援学級の生徒数は352人で、市内全体の生徒数の2.8%、学級数は51学級で、市内全体の学級数の11.9%となっています。通級指導学級の生徒数は13人で、市内全体の生徒数の0.1%、学級数は1学級で、市内全体の学級数の0.2%となっています。特別支援教室の生徒数は523人で、市内全体の生徒数の4.1%となっています。 ③ 市内及び近隣の特別支援学校高等部の状況 令和5年(2023年)現在の市内及び近隣の特別支援学校高等部の各学年別八王子市在住の生徒数は、合計で381人です。 卒業後の進路は進学、企業就労、福祉的就労、生活介護事業所、施設入所など様々な状況となっています。  (2)就労状況 ① 障害者の就労状況 ハローワーク八王子管内(八王子市、日野市)における令和4年度(2022年度)の障害者就職件数は454件であり、令和元年度(2019年度)の551件と比較して17.7%減となっていますが、これは新型コロナウイルス感染症の影響によるものと考えられます。障害種別で見ると、精神障害者の就職が増加していますが、令和元年度(2019年度)の状態にはまだ回復していない状況にあります。 ② 都内の特例子会社の状況 昭和51年(1976年)の職業安定局長通達で定められた「特例子会社制度」は、昭和62年(1987年)の障害者雇用促進法の改正で法制化され、平成14年(2002年)10月1日からはグループ適用が開始されています。特例子会社の多くは23区内にありますが、多摩地域でもいくつかの特例子会社が設立されています。 特例子会社とは 特例子会社とは、「障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社」で、厚生労働大臣から認定を受けた会社を指します。 特例子会社を設立すると、そこで雇用する全従業員は事業主(親会社)の雇用であるとみなされ、雇用率を算定する際には親会社と同一の事業所として取り扱われます。  3 施策推進にあたっての課題 本市の総人口はほぼ横ばいとなっている一方、65歳以上の高齢者人口は増加しています。これに伴い、障害者及びその家族の高齢化も進行しています。加えて、愛の手帳(東京都療育手帳)や精神障害者保健福祉手帳の所持者数についても、制度の周知が進んだこともあり、増加し続けています。 このことから、総人口に対する障害者数の割合は増加し続けており、今後もサービスの確保を図らなければならない状況にあります。 障害者を取り巻く現状については、時代のニーズや上記の状況に則した支援の提供が必要とされおり、次の項目についてそれぞれ課題が挙げられています。 本計画においては、これらの課題を解決し、必要なサービスを提供するため、様々な施策を実施していきます。 項目 相談支援 課題 総合的な相談支援体制の構築 地域生活支援拠点の整備 他の関係機関との連携、協働のためのネットワークの構築 項目 地域移行 課題 地域とのつながりの強化 地域で障害者(児)が受け入れられる環境の整備 地域移行に係る障害者支援のネットワークの強化 項目 就労支援 課題 農福連携の推進等の新たな雇用の創出 福祉施設から一般就労への移行及び定着 就労に関する相談体制の充実 項目 生活支援 課題 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 項目 障害者施設 課題 障害福祉サービスの質の向上及び福祉人材の確保 障害者施設のさらなる整備 重度障害者向けの施設の充実 施設における業務の効率化による人手不足解消の推進 項目 災害対策 課題 避難情報等の発信 障害者が安心して避難できる避難所受け入れ態勢の構築 避難所に避難できない方への支援 項目 障害児支援 課題 重症心身障害児及び医療的ケア児の支援体制の構築 発達障害に係る相談支援の充実 障害児の切れ目のない支援体制の構築 医療的ケア児等コーディネーターの人材確保・インクルージョン推進のための体制構築 項目 権利擁護 課題 障害理解の推進 虐待防止及び差別解消のための研修及び啓発の充実