対象疾患の説明
小児感染症サーベイランス対象疾患
1.咽頭結膜熱
- 原因
アデノウイルス3・4・7型による接触・飛沫感染。 - 潜伏期間
5~7日間。 - 症状
39度前後の発熱、咽頭痛、結膜炎が主症状で、1~2週間で治癒。 - 発生状況
小児、特に5歳以下に多く、夏に流行。 - 予防
患者の眼や顔をさわった手で触れた物を介して伝染するので、共用タオルの使用は避ける。 主症状が消失した後3~4週間は便にウイルスが排出されることがあるので、感染予防に注意する。
2.A群溶血性レンサ球菌感染症
- 原因
A群溶血性レンサ球菌による経口・飛沫感染。 - 潜伏期間
2~4日間。 - 症状
高熱、咽頭痛、小児では嘔吐、腹痛など。 - 発生状況
5~15歳までの幼児及び学童に好発。 - 予防
外出後のうがいの実施。
3.感染性胃腸炎
- 原因
ロタウイルス、ノロウイルス、腸管アデノウイルス等による経口・飛沫感染。 - 潜伏期間
1~3日間。 - 症状
嘔吐、下痢、発熱、腹痛など。乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいため、十分な水分補給が必要である。 - 発生状況
ロタウイルス、ノロウイルスによる胃腸炎は冬季に多い。 - 予防
便や吐物にウイルスが含まれるのでトイレの後、食事の前、調理の前などに手洗いを十分に行う。汚染された衣類は次亜塩素酸ナトリウム等で消毒する。 主症状が消失した後3~4週間は便にウイルスが排泄されることがあるので、感染予防に注意する。
4.水痘(みずぼうそう)
- 原因
水痘・帯状疱疹ウイルスによる接触・飛沫感染。発疹出現24時間前から痂皮形成するまで感染性がある。 - 潜伏期間
2~3週間。 - 症状
倦怠感、食欲不振、発熱などの全身症状と共に発疹が出現。発疹は紅斑、丘疹、水疱となり、やがてかさぶたになり脱落する。 - 発生状況
冬から春に多く、9歳以下に好発。 - 予防
予防には、1歳以降に水痘生ワクチンを接種する。また、患者との接触後3日以内に水痘生ワクチンを接種すれば、接触者の発症の予防ないし水痘の軽症化ができるとされている。
5.手足口病
- 原因
コクサッキーウイルスA10・16型、エンテロウイルス71などによる経口・飛沫・接触感染。 - 潜伏期間
2~7日間。 - 症状
軽度の発熱、手のひら・足の裏・口の中に水疱ができる。その他食欲不振、咽頭痛など。水分補給に努め脱水を予防することが大切である。 - 発生状況
乳幼児を中心に7月頃に流行。 - 予防
主症状が消失した後3~4週間は便にウイルスが排出されることがあるので、感染予防に注意する。
6.伝染性紅斑
- 原因
ヒトパルボウイルスB19による接触・飛沫感染。 - 潜伏期間
約4~15日間。 - 症状
発疹(両頬のびまん性紅斑)、関節痛、かぜ症状など。 - 発生状況
小学校で流行することが多い。 - 予防
発疹が出る頃にはウイルス排出は終わっているので、感染の可能性はきわめて低く、患児の出席停止は必要ない。
7.突発性発疹
- 原因
ヒトヘルペスウイルスによる感染。だ液を介して母から子への感染が推察されている。 - 潜伏期間
約10日間。 - 症状
発熱、発疹、下痢。 - 発生状況
乳幼児(4~12ヶ月)に好発。
8.百日咳
- 原因
百日咳菌による飛沫・接触感染。 - 潜伏期間
5~10日間(最大で3週間程度)。 - 症状
激しい咳、痰など。乳児の場合、無呼吸発作などの症状で発症することがある。 - 発生状況
成人例の報告が年々増加しており、大学や集団生活施設における集団発生が報告されている。 - 予防
DPTワクチン接種。ただし、ワクチンによる免疫効果の持続は5~10年程度である。
9.風疹
- 原因
風疹ウイルスによる飛沫・接触感染。発疹出現の7日前から出現後5日間に感染性がある。 - 潜伏期間
2~3週間。 - 症状
顔・体幹・全身の淡紅色の発疹、頸部・耳後部のリンパ節腫脹。 - 発生状況
春から初夏に多く、学童から思春期に好発。 - 予防
風疹生ワクチンの接種。
10.ヘルパンギーナ
- 原因
コクサッキーウイルスA3・4・5・6・8・10による経口・飛沫・接触感染。 - 潜伏期間
2~7日間。 - 症状
高熱、嘔吐、食欲不振、咽頭痛、口腔内の小水疱疹。 - 発生状況
毎年7月頃に流行。
11.麻疹
- 原因
麻疹ウイルスによる空気・接触感染。咳、眼脂などの症状が出現する1~2日前から発疹後4~5日まではウイルス排出の可能性がある。 - 潜伏期間
10~12日間。 - 症状
発熱、咳、眼脂などの症状が3~5日続いた後、全身に発疹が出現する。4~5日後に解熱した後発疹は色素沈着を残す。 - 発生状況
2歳以下のワクチン未接種者に好発。2001年頃より、12~20歳前後にも多くみられるようになった。 - 予防
麻疹ワクチンの予防接種(2回接種)。麻疹患者と接触後3日以内であればワクチンが有効。
12.流行性耳下腺炎
- 原因
ムンプスウイルスによる飛沫・接触感染。 - 潜伏期間
約2~3週間。 - 症状
発熱、倦怠感、頭痛、耳下腺腫脹、疼痛など。 - 発生状況
好発年齢は4~5歳。 - 予防
生ワクチン接種。
13.インフルエンザ
- 原因
インフルエンザウイルスによる飛沫・接触感染。発症後2~5日間は感染性がある。 - 潜伏期間
18~72時間。 - 症状
高熱、頭痛、筋肉痛、咳など。 - 発生状況
12月頃から流行が始まり1月後半から2月始めにピークを迎え3月までには流行が終わることが多い。 - 予防
手洗い、咳エチケットの励行、湿度の保持。インフルエンザワクチン接種。
14.マイコプラズマ肺炎
- 原因
マイコプラズマによる飛沫感染。 - 潜伏期間
2~3週間。 - 症状
高熱と持続する咳が特徴である。 - 発生状況
小児、若年成人の市中肺炎の主な原因の一つである。
参考
- 東京都感染症マニュアル2009
発行 東京都 平成21年3月発行 - 予防接種に関するQ&A集 2010年度版
発行 社団法人 細菌製剤協会 平成22年8月発行
関連情報
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